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『マトリックス』感想 今更1作目を初めて鑑賞

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(C)1999 Village Roadshow Films (BVI) Limited. (C)1999 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

今更初めて観ましたシリーズ、前回の『ターミネーター』に続き今回は1999年のSF映画『マトリックス』です。

『ターミネーター』とは違い、『マトリックス』は思春期と言える頃に話題になっていた作品なので、リアルタイムで観る機会はあったのですが、ワイヤーアクションが苦手だったことや、テレビ放映されたときに何故かいつも途中からの鑑賞になってしまい話が分からないので視聴を断念するという感じで、これまで観ずにきました。

しかし、やっぱりこういう未だに言及されることの多い作品は観ておいたほうが周辺の話も楽しめるだろうということで、上映から20年後の今、初鑑賞いたしました。では、感想です。

作品概要

The Matrix/1999年製作/136分/アメリカ

監督・脚本:アンディ・ウォシャウスキー、ラリー・ウォシャウスキー

出演: キアヌ・リーヴス、ローレンス・フィッシュバーン、キャリー=アン・モス、ヒューゴ・ウィーヴィング他

 

あらすじ

凄腕ハッカーのネオは、最近”起きてもまだ夢を見ているような感覚”に悩まされていた。そんなある日、自宅のコンピュータ画面に、不思議なメッセージが届く…。正体不明の美女トリニティーに導かれて、ネオはモーフィアスという男と出会う。そこで見せられた世界の真実とは。やがて、人類の命運をかけた壮絶な戦いが始まる

filmarksより引用

 

感想(ネタバレあり)

驚いたのはキアヌ・リーヴスの若さと美しさ。初っ端からミーハーな感想で申し訳ないですが、この頃のキアヌってこんなにも若くて綺麗だったっけ? キアヌと言えば『スピード』(1994年)を既に観ていてかっこいい顔だという認識はあったけど、『マトリックス』公開当時にたくさん目にした宣伝では、そんなにその美貌や若さに目が至らなかった。まあ、若さについては今観るから若いと感じる当たり前の現象なんだろうけど(当時ガキだった私には渋い大人のお兄さんでも、今の私には若く見える)、綺麗さには普通にビビる。もしかしたら、宣伝の映像が黒ロングコートのサングラスをかけたアクション場面ばかりでキアヌの美しさが光る場面を見ていなかったから当時は気付かなかったのかもしれない。冒頭らへんで「いつにも増して青白いぞ」と言われていたように、本作での青白いキアヌの美しさにビビらされるのは、青や緑といった寒色系の映像であることも大きい。キアヌの肌の質感に合ってるのだ。

そしてキャリー=アン・モスも同様に滅茶苦茶美しい。クールな美貌だ。映像の質感が二人の美貌を際立たせている。

二人の美しさに驚かされながらも映画は進み、主人公ネオが今まで現実だと思っていた世界は、仮想現実空間だったということが示されていく。当然今まで生きていれば本作を観ていなくても仮想現実を描いた作品だという話を耳にすることが多かったので、そういう映画だっていうことは分かっていた。でも、本当はよく分かっていなかった。今居るところとは別の世界(仮想現実)へ行き、そこで戦うような話だと勝手に思っていたのだが、今まで普通に生きてきた現実が実は仮想現実空間だった、そしてそこから一旦出て、そのうえでその仮想現実空間で戦うという話だったらしい。(←頭が悪いのでこの解釈であってるかの自信もないけど)

実は今まで本作を観てこなかった理由の一つに、SFというジャンルを好んで観るタイプではないからというのもあって、SFオンチな人間なのですが、何故そうなのかというと、非現実的なものにあまり入っていけない、極度に現実性を求めてしまうタイプだからだと自分で分析しています。(ファンタジー映画の苦手さに比べると、SFは起こり得なくもないと考えられるから大の苦手というわけではないけれど)

そんな自分がこの映画を観て思ったのは、結局自分の考え方の問題でもあるんだよな、ということ。きっとSFやファンタジーが好きな人は今の社会や世界とは違うものに思いを馳せることができたり、その別の世界を楽しむことができる人なのだと思う。小さい頃から空想の世界に憧れを抱くという感情が欠落していた私は、ひたすらに現実の社会を映し描き出すものに熱中してきたのですが、それはある意味想像力の乏しさとも言えるのではないか。

この映画が描いたのは、今居る世界が本当ではないという可能性。もしかしたら今私が普通に生活しているこの世界は本当ではなくて、別の可能性があるんじゃないかという考え方。こういうのは哲学チックなものの見方でもあり、想像性があります。真実を求めてモーフィアスに導かれたネオというキャラクターは、今の世界に違和感を持っていて自分で扉を開くことを選択しますが、これは現実社会の話にも置き換えられる話でもある。今の環境や自分に満足していない人間が、自分で自分の運命を決めて今を乗り換える普遍的な話として受け入れることができました。

裏切者のサイファーというキャラクターは、しみったれた本当の世界よりも、理想的で害のない偽物の世界に戻ることを望みますが、このキャラクターが居ることで、ネオとの対比になっていて分かりやすい。このサイファーの気持ちも分かるなあと思いながらも、自分なら本当の世界で生きるほうを選びたいなと考えさせられたりもしました。

「救世主」という人の心にあるヒーロー願望を満足させる導入でありながら、運命は自分で決めるものだというテーマが貫かれていたのも良かった。トリニティのキスでネオが息を吹き返すシーンなんかは興醒めだったというような人も居るようだけど、おとぎ話とは逆の男女の目覚めのキスで面白いし、これはトリニティの思いが物事を動かすという非運命的なものとして描かれていると自分は感じた。あと単純にクールなトリニティのキスシーンだから良い。

アクションシーンに関しては見ていて笑ってしまうものがあるけど、仮想現実という世界だから何もかもオールOKなところがずるい。不可思議な動きをするワイヤーアクションは好きじゃないけど、この映画の場合はそういう世界だからねってことで納得できてしまうのだ。ずるい。しかし、最後のほうのシーンでエージェント・スミスに蹴りを入れたキアヌの蹴り終わった足の処理はあまりにもぎこちなさすぎた。これは流石にいただけなかったw

予告か何かでずっと耳に残っていたエージェント・スミスの「ミスターアンダーソン」は本編で聞いても印象的。あと電話で戻ってくるというのもレトロな感じがして好き。

なんだかんだ、こういう革新的とされるような映画はやっぱり旬な内に見ておくべきだよなと思いました。

 

U-NEXT の無料トライアルで視聴しました。(2019年10月31日まで配信予定らしい)

 

マトリックス (字幕版)