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『gifted/ギフテッド』感想~天才少女の教育をめぐるお話

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(C)2017 Twentieth Century Fox

(500)日のサマー』のマーク・ウェブ監督作『gifted/ギフテッド』を鑑賞しました。

 

 

作品情報

原題:Gifted
製作年:2017年
製作国:アメリ
上映時間:101分
配給:FOX
監督:マーク・ウェブ
出演:クリス・エヴァンス、マッケナ・グレイス、リンゼイ・ダンカン他

 

あらすじ

フロリダの海辺の街で、ボートの修理をして生計を立てている独り身のフランク。彼は、天才数学者だったが志半ばで自殺してしまった姉の一人娘、メアリーを養っている。彼女は、先天的な数学の天才児“ギフテッド”であり、周りは特別な教育を受けることを勧めるが、フランクは「メアリーを普通に育てる」という姉との約束を守っていた。しかし、天才児にはそれ相応の教育を望むフランクの母イブリンが現れ、フランクとメアリーの仲を裂く親権問題にまで発展していく——。
公式サイトより引用http://www.foxmovies-jp.com/gifted/

 

ギフテッドとは

タイトルにもなっている「gifted」は日本語で「優れた才能のある」とか「ずばぬけた知能を持つ 」という意味になるそうで、この映画に出てくる天才少女メアリーのように、生まれつきIQが高い人や特別な才能を持った人を指す場合に実際に使われている言葉らしいです。

私は勉強不足で知らなかったけど、日本でも「ギフテッド」という言葉は英語と同じ意味で使われているよう。飛び級制度のあるアメリカと違って、日本は同じ教育を積ませることに重きを置く教育法をとってますが、個人の才能を伸ばすという意味では議論の余地ありでずっと来ています。

ちなみに2017年から日本で初の「ギフテッド教育」なるものが渋谷区でスタートしたそうで、もしかしたら今後近いうちに日本の教育も大きな変化が訪れるかもしれないですね。

なんて、今まで教育について大して考えたことなかったくせに言ってみました。

 

感想(ネタバレなし)

話の構造は『I am Sam アイ・アム・サム』とほぼ同じ

この映画は、天才数学者だった母親を自殺で失ったギフテッドの少女メアリーの親権をめぐる話になります。

母親から自殺前にメアリーを託されたのがクリス・エヴァンス演じるフランクという男で、メアリーにとっては叔父にあたる人。彼女が幼いころから男手ひとつで育ててきた父親みたいな存在(ちなみに本当の父親はメアリーが生まれる前に別れてて不在)。姉の意志を継ぎ、メアリーには普通の子供たちと一緒に普通に授業を受けて普通に生活してほしいと、彼女を公立小学校に通わせます。

そしてそこに現れたのがイヴリンという、勉強原理主義者みたいなメアリーの祖母。天才の孫を英才教育させるために連れて行こうとします。ちなみにこの人自身もケンブリッジ大学を出ていて頭が良い人です。

この親子2人によるメアリーちゃんをめぐる法廷での親権争いなどが進んでいき、メアリーちゃんの幸せとは?というのがテーマになっていく作品。

役の設定は違えど、ほぼほぼ『I am Sam アイ・アム・サム』でした。

I am Samのほうは、主人公が知能指数の低い大人の男性で、隣人に助けてもらいながら一人娘を育てていたが、彼にはこれ以上育てられないとしてソーシャルワーカーに引き離されそうになり、法廷で戦うといった話。そのなかで、娘の本当の幸せとは何かが描かれていきます。

物語の構造が似てるから、アイ・アム・サムでもあったなっていうようなシーンが結構散見されて、もうちょっとどうにかできなかったのかなというのが惜しいところでした。

天才少女メアリーちゃん 

母親が数学の天才でしたが、メアリーちゃんも数学の天才で、母親の解けなかったミレニアム懸賞問題を解くことを祖母から期待されます。

ちなみにミレニアム懸賞問題とは、2000年に発表された100万ドルの懸賞金がかけられた実際にある7つの問題のことらしい。で、そのうちの一つは解決済らしい。まあ、一応7つの問題をWikipediaでちらっと見てみたけど何を言ってるのかさっぱりだった。問題の文章が本当に1ミリも分からない…

そしてメアリーの母親は物語上、自ら命を絶ってしまってますが、科学的には証明されていないものの、実際にもギフテッドの人は鬱になりやすかったり自殺する人が多いと言われているようです。まあ科学的に証明されていない以上テキトーなことは言えないけど、そのへんのことも物語に反映されてるのかもしれない。

自殺とまではいかないまでも、なかなか周囲から理解されなかったり、本人以外には分かりにくい苦労があるだろうことは映画を観ても容易に想像できますね。

でも同時に普通の子供っぽいところもあるのも映画のなかで描かれてました。

基本、眉間にしわが寄ってる怒り顔なんだけど、笑ったらかわいいし、ひねくれ者の大人みたいなところと子供っぽさが共存しているメアリーをマッケナ・グレイスちゃんが上手く演じてました。天才子役と呼ばれてるところがI am Samのダコタ・ファニングともまた被ってしまうんだけど。(しつこい)

物語は、ちょっと予想しなかった事実も明らかになったりして、そこが結構グサッときました。