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『リンカーン弁護士』感想 弁護士vs依頼人

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マシュー・マコノヒー主演の法廷サスペンス『リンカーン弁護士』。 

最近プライムビデオで『TRUE DETECTIVE』の死ぬほどかっこいいマシュー・マコノヒーを見て、めっきりマコノヒーめいているので、未見だった本作を鑑賞しました。では、感想です。 

 

作品概要

The Lincoln Lawyer/2011年製作/119分/PG12/アメリカ
監督:ブラッド・ファーマン
出演:マシュー・マコノヒー、マリサ・トメイ、ライアン・フィリップ、ジョシュ・ルーカス、ジョン・レグイザモ、マイケル・ペーニャ、ブライアン・クランストン、ウィリアム・H・メイシー他

 

あらすじ

高級車リンカーン・コンチネンタルの後部座席を事務所代わりにLAを忙しく駆け回り、司法取引を最大限に利用して軽い刑で収める得意戦略で依頼人の利益を守るやり手弁護士、ミック・ハラー。ある時、資産家の御曹司ルイスの弁護というおいしい話が舞い込む。事件はルイスが女性を殴打し重傷を負わせたとされるもので、いつものように司法取引をまとめるだけで高額の報酬が舞い込むはずだった。ところが頑なに無実を訴えるルイスは司法取引を拒否し、ミックの戦略に狂いが生じ始める。さらにルイスが、4年前にミックの担当した殺人事件の真犯人としても浮上し、次第に自分自身が追い込まれてしまうミックだったが…。
allcinemaより引用

 

感想(ネタバレあり)

心を掴まれる渋くてイカしたオープニングから始まり、高級車を乗り回す敏腕弁護士が自分の流儀でクールに物事に対処していく痛快な映画かと想像させながら、意外にもしっかりとこの弁護士を追い込んでくれ、その上でスカッとさせてくれる芯のある気持ちの良い映画でした。

無罪を主張する依頼人 → 実は過去に担当した事件の真犯人だった → 今回の件もその依頼人が犯人で、他人に罪を被せようとしている → 真実が分かりながらも弁護士の秘匿特権のせいで言えない → 調査員を殺され自らもその犯人にさせられそうに…

この最悪の依頼人に精神をズタズタにされながらも、そこから一矢報いるためにポーカーフェイスでやり抜く姿がかっこいい。利益のためなら手段を問わない弁護士でありながら、無実の男を誤って監獄へ入れてしまった自分に強い憤りを覚えるあたり、時に凶悪犯の味方として悪人扱いされる弁護士の隠した人間性をつまびらかにしてくれる。

しかもライアン・フィリップ演じる御曹司の依頼人が頭の良いクソ野郎なため、そいつを頭脳戦で打ち負かしてくれるのが気持ちいい。どうだ、頭のキレはこっちのが上だぞ、とマシュー・マコノヒーの代わりにこちらがドヤ顔。世の切れ者は皆このマシュー・マコノヒーみたいな男だったら良いのにと思いました。人を使うのが上手いというのはこういうことなのだなとも思いました。

マシュー・マコノヒーは『評決のとき』(1996年)以来の弁護士役だったのかな。本作とは違って正義感が全面に出た真面目な新米弁護士。最終弁論のシーンが印象的すぎて、マコノヒーといえば長らく『評決のとき』のマシュー・マコノヒー、という感じでした。その後もラブコメとか『サハラ』みたいな映画でプレイボーイな役が多かったけど、2011年の本作あたりから作品選びを方向転換して複雑な役をやるようになり、今ではすっかり名優です。未見のままだったけど、この映画があって良かったなーと思いました。

それから本作の(顔が)濃いキャストの勢揃いっぷりにも注目したい。ジョン・レグイザモとマイケル・ペーニャが一つの同じ映画に出たらもうそれだけで濃いし、調査員にウィリアム・H・メイシーは心強くも濃いし、刑事に『ブレイキング・バッド』などのブライアン・クランストンなんて濃いし、『TRUE DETECTIVE』で牧師の役やってたシェー・ウィガムも濃いし、とにかく顔が強い俳優たちの祭典でした。

ラストまで何故タイトルが『リンカーン弁護士』なのか分からずじまいでしたが、高級車の名前がリンカーンだったのね…。車の知識がないとこういうときに困る。

 

 

※ U-NEXT の見放題で鑑賞。(2020年3月31日まで配信予定)

 

原作はこちら↓

リンカーン弁護士(上) (講談社文庫)

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リンカーン弁護士 (字幕版)

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