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『グザヴィエ・ドラン バウンド・トゥ・インポッシブル』感想~ドランファン必見ドキュメンタリー

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(C)2016 Tangaro - Shoot again productions - MK2 - Sons of Manual - Metafilms

若きカナダ人監督、グザヴィエ・ドランのミニドキュメンタリー『グザヴィエ・ドラン バウンド・トゥ・インポッシブル』を鑑賞。

ドラン監督のインタビューや、出演者・関係者のインタビューを集めて構成されてます。

 

作品情報

Xavier Dolan: a l'impossible je suis tenu/2016年製作/52分/フランス

監督:ブノワ・プショー

出演:グザヴィエ・ドラン、アンヌ・ドルヴァル、スザンヌ・クレマン、ナタリー・バイ、ニールス・シュネデール、ヴァンサン・カッセルギャスパー・ウリエルメルヴィル・プポー

 

感想

52分と短めのドキュメンタリーですが、グザヴィエ・ドラン好きは楽しめると思います。何より、これまでの監督作品についての話が聞けたのが嬉しい。

長編監督作は以下6作です。

  • マイ・マザー (2009)
  • 胸騒ぎの恋人 (2010)
  • わたしはロランス (2012)
  • トム・アット・ザ・ファーム (2013)
  • Mommy/マミー (2014)
  • たかが世界の終わり (2016)

(まだ日本で公開されてない最新の作品もありますが、本作は2016年製作なのでそれは含まれておらず)

私の場合は、『マイ・マザー』と『胸騒ぎの恋人』を5年くらい前に立て続けにDVDで観て「す、すげえ…」となったのが最初でした。久しぶりに胸がときめく映画作家に出会ったと興奮したものです。映像センス、音楽センス、ユーモアのセンス、人間の機微の映し出し方、すべてが卓抜していてもう何も言えねえって感じでした。なんといってもデビュー作の『マイ・マザー』のときにまだ20歳とかですからね。しかも監督・脚本をこなしつつ主演もつとめて。 

デビュー作から成功して、その後もコンスタントに印象に残る作品を撮り続けて、映画祭でも評価され、何もかもが順風満帆ですごいなって思ってました。 

だけどこの映画を観たら、最初は資金不足に陥りアパートを売り払ったり、配給契約も解除されたりして苦労していたことが分かった。どうにか作品を作ってカンヌへの出品が決まったことから道が開けていったようだ。

それに映画学校に入れたわけでもなく、映画を観て独学で映画の手法を自分のものにしていったようです。

確かに上記の2作を観たときに、才能に感動もしたけど、同時にただの才能だけじゃなくて、努力して培った形跡を作品から感じ取れたんですよね。この人は様々なジャンルの良いものに触れて自分の美意識を磨いてきたんだなってすごく思った。そして描きたいものがはっきりしていて、若くしてそれを形にして成功させたことこそが彼の稀有な才能だと思いました。

本作ではドランが作品を作るうえで影響を受けた映画として、ウォン・カーウァイの『花様年華』や、ある有名な大作映画について話しています。これがちょっと意外な作品でなるほどと面白かった。

『Mommy/マミー』の画面サイズの話も興味深かったです。

インタビューには今まであまり目を通してこなかったんで、既出の話もきっとあるかもしれないですが。

あと出演者が語るグザヴィエ・ドランも結構たくさん入ってます。欲を言えば、『たかが世界の終わり』についてのドラン自身の話がもっと聞きたかったな。

 

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