『ペピ、ルシ、ボンとその他大勢の娘たち』感想~ペドロ・アルモドバル監督デビュー作
『ペピ、ルシ、ボンとその他大勢の娘たち』を鑑賞。
『オール・アバウト・マイ・マザー』『トーク・トゥ・ハー』『私が、生きる肌』などのスペインの巨匠ペドロ・アルモドバルの商業映画デビュー作です。
作品概要
Pepi, Luci, Bom y otras chicas del monton/1980年製作/81分/スペイン
監督・脚本:ペドロ・アルモドバル
出演:カルメン・マウラ、フェリクス・ロタエタ、アラスカ、エバ・シバ他
あらすじ
自宅で大麻の栽培をしていたことがバレてしまい、警官に逮捕の代わりにレイプされ処女を奪われるペピ。警官に復讐するために彼の妻ルシに近づくが、マゾヒストのルシはペピの親友のサディスト、ボンと恋人関係になり家を出ていくことになる。
感想
久し振りにアルモドバルの初期作品を観たけど、やっぱりぶっ飛んでて面白かった。エロス、SM、変態、犯罪、といったアルモドバル作品に通じる要素がこのデビュー作からもうビンビンw
大麻の栽培がバレた主人公が、警官に逮捕されないために自分から相手を誘っておいて、「処女だからア◯ルにして」とか言っている冒頭からもう色々とおかしい。彼女は高値で処女を売りたかったらしいです。
就職した広告会社で主人公が作ったCMがインサートされるのですが、このCMも下品の極み。面白かったけど。
また、ゲイのアルモドバルらしく、ごく自然に同性愛者やバイセクシャルの人々が描かれ、みんながみんな自由を謳歌しています。
自主映画っぽい固定カメラの画面やシーンは、当時のスペインの若者たちがそのまま映画に登場しているような印象を与えていて、街角で撮影するアルモドバルやその仲間たちが目に浮かんできました。
物語の本筋(そもそも物語もあってないようなものなんですが)とは全然関係ないちょっとした脇役のおもしろシーンもあり、本当に自由です。
アルモドバル自身もカメオ出演してるんですが、そのシーンもまた下品で下品でw
若きアルモドバルが楽しんで撮ってるのが伝わってきました。
一方で、家庭で夫に虐げられる妻を自由な世界にいざなう女性たちの物語は、これもまたアルモドバルらしいところです。アルモドバルは本当に女性を魅力的に描くなあと思った。主人公ペピを演じたのはアルモドバル作品常連のカルメン・マウラ。明るくて強い女性が似合う。
ジャンルで言うならコメディ映画になると思うけど、普通のコメディ映画ともまた違うアクの強さがあるのでなんとも言いがたい。とにかく色んなキャラクターが登場して個性を発揮していく楽しい映画です。
U-NEXT でアルモドバル作品を特集してるのを発見して観ました。昔ビデオ屋に置いてあったのはすべて借りたけど、今まで観れなかった作品が無料であったのでありがたい。配信系ってあんまりヨーロッパ映画が充実してないからもっと増えたらいいなって思う。