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『マザー!』感想~やっぱりアロノフスキーは好きになれなかった

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(C)2017, 2018 Paramount Pictures.

ダーレン・アロノフスキー監督作『マザー!』を鑑賞。

ジェニファー・ローレンスが好きなのと、日本公開中止になった問題作とか聞けば逆に気になってしまうもので、鑑賞に至る。

 

作品情報

Mother!/2017年製作/121分/アメリ

監督・脚本:ダーレン・アロノフスキー

出演:ジェニファー・ローレンスハビエル・バルデムエド・ハリスミシェル・ファイファー

 

あらすじ

郊外にある一軒家。妊婦の妻と夫が穏やかな暮らしを送っていた夜、家に不審な訪問者が訪れる。翌日も次々と現れる謎の訪問者たち。妻は不安と恐怖を募らせる中、夫はそんな怪しげな連中を快く招き入れてしまう。
しかし、訪問者たちの行動は次第にエスカレートし、常軌を逸した事件が起こり…。

公式サイトより引用

 

感想(ネタバレあり) 

聖書をメタファーにした映画です。

私はキリスト教に詳しくないので、そのことに気付くのがかなり後のほうでしたが、鑑賞後、ググって一番最初に出てきたサイトに旧約聖書新約聖書の物語がこの映画にあてはめられているということが分かって参考になりました。

エド・ハリスミシェル・ファイファーはアダムとイブでその息子たちはカインとアベルだったのだな、とか。

詩人の夫と、彼の妻が暮らす家に闖入者たちがワラワラと群れ集まってくる様子は、不条理な悪夢のようで、妻のジェニファー・ローレンスに感情移入しながら楽しく観れました。

まるで親の出掛けた日にティーンエイジャーの催すパーティーのような、支離滅裂さ。勝手に部屋にズカズカ入っていくわ、物を壊すわ、とにかく大人がやるもんじゃないw

そんな彼らを寛大に受け入れながら、自分は後片付けなんて何もしない夫のハビエル・バルデムジェニファー・ローレンスがとにかく可哀そうでしょうがない。

かましいうえに話の通じない人たちが我が家に押しかけてくるという地獄はなかなか見れない面白い画でした。

そこからさらにエスカレートしていき、家のなかは詩人の夫(神)のファンたち(信者)でごった返し、迫害と暴力と戦争が入り混じったカオスへと突入。そこで赤ちゃんが殺されてしまい、最終的にジェニファー・ローレンスは家を焼き、夫に心臓を捧げて亡くなります。

妻のジェニファー・ローレンスのメタファーは<母なる大地>であったわけですが、だいぶ無理したなという印象。人に母なる大地の役割を託すわけですからね。メタファーによって構成される映画ってあるけど、こんなにもメタファーメタファーした映画もめずらしいのではないかと思います。

キリスト教批判の映画、男女観の映画、皮肉映画、壮大なコントなどなど、色んな見方が可能な映画です。

監督本人は、環境問題を提起した映画というようなことを言ってるみたいだけど、なんかこの監督が言うと嘘っぽいw ダーレン・アロノフスキー今敏監督のアニメからの盗用を認めなかった過去があるので、人として信頼できないとこがあります。(好きだから使ったって素直に言えばいいのに)

 

観終わっての感想は、なんだかなあという感じで、自分でもどのように言えばいいのか分かりません。もちろん上に書いてるように引き込まれた部分はあるんですが、ダーレン・アロノフスキー監督の作品ってどうも好きになれないんですよね。

胸糞映画を作る監督としてよく言われていますが、胸糞映画だから苦手だとかそういうわけではないんです。 同じく胸糞映画監督扱いされているラース・フォン・トリアーの作品は大好きなんですよ。

ブラック・スワン』が特に色々とイラっときた映画だったんですけど、この監督って何か露悪的なものばかりが際立ってると思うんですよね。『ブラック・スワン』はそもそもあんな主人公が白鳥の湖で人を本当に感動させる踊りなんかできないよって思うし、もうすべてがコントとして作ってるようにしか見えない。この映画も監督の戯事にしか見えない部分を感じてしまうんですよね。

もう端的に言えば性に合わないってことだと思うんだけど、自分のなかでも嫌な部分が上手く説明できないからもどかしい。

自分が女だから感じる嫌な部分もあるのかもしれないけど。なんか嫌な軽薄な男だなって思えてしょうがないんですよw

こんな感じで自分でも分かってないから感想書くかどうかも迷ったけどとりあえず殴り書きました。もうちょっと自分のなかで何が苦手なのかを整理したい。